LMC・BO体験レポート

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レポート

種別BO or LMCBO
環境日時2010年4月3日 16時30分ごろ
場所プール(50m×25m×2.5m)
水温28℃
気温、室温室温 30℃
水質透明度50m以上
状況練習内容(種目等)ダイナミック ウィズフィン ターゲット練習
事故発生タイミング練習中盤
前日の睡眠時間7時間
普段の平均睡眠時間7時間
事故前の心境リラックスしていた
事故前の体調良好
個人普段の食生活比較的栄養バランスに配慮している
定期トレーニング肺のストレッチはほぼ毎日,毎週土日にプール
酒・たばこ普段、お酒はあまり飲まない。たばこは嫌い。
体格・性格等身長165cm,体重60kg,標準的体型
性格はかなり理屈っぽい。
本人見解

事故までの経緯、練習内容の詳細、自分なりに考えた原因と反省点および今後の課題等

<概要>

プールでのターゲット練習中、プールの壁まで泳ごうと、つい無理をしてしまい、浮上直後に BOを起こしました。

<状況詳細>

当日の朝、8時〜10時に他のプールでフィンスイムの練習に参加してきたため、腹筋を中心に、 軽く疲れが残っている感じはありましたが、ウォーミングアップ中にほぐれたと感じました。
ウォーミングアップで軽く泳いだ後、スタティック練習を1回。
スタティックは4分で、特に問題無し。
3mmウェット上半身着用のみだったため、若干寒くなりましたが、ダイナミックのターゲット前に ジャグジーにゆっくり浸かることで回復しました。
ダイナミックターゲットは100mを申告しました。
ここ最近の練習では、限界ギリギリ感はあるものの、100mまでは泳げるようになっていたため、 まずは100mを定常的に達成できるようになりたいという願望混じりの申告だったと思います。 (第一の反省点)

50mプールの往きは順調で、かつて無かったほどリラックスした状態でした。
そのせいか、感じている以上に早く折り返し点に到達し、目をつむっている状態で突然プールの壁に 手から激突し、右手首がグキと言いました。
慌てて体をひねってターンしようとしましたが、なんだか頭と右肩もぶつけました。
この時点で息苦しさは無く、ぶつけたところの痛みも大したことはないと判断できたため、 そのまま折り返して泳ぎ続けました。 (第二の反省点)

やや動揺しながら泳ぎ続けたせいか、苦しくなりはじめの感触が、いつもと少し違いました。 苦しさより先に、「フワッ」ときた感じです。
上がるかどうするか迷いながら、頭を上げて壁までの距離を見ると、あと5m程度に見えました。
5mがんばろうと思い、壁までを泳ぎきりました。 (第三の反省点)

壁に手が届いた時、目が回り始めたため、「やばい」と感じました。
息を吐きながら、手で壁を下に送って水面に出、空気を吸いました。
プールの縁に手をかけようとしましたが、滑って手が外れました。
すでにけいれんが始まっており、体を立て直せず、斜めに崩れ落ちました。
吸った空気から取り込まれた酸素が、胸→首の順に、血管の中を送られてくる感じがありました。
(潜行前カウントダウン時の呼吸でも感じられるが、体内でその血液はなぜか少し冷たい)
酸素早く来い早く早く、と思っているうちに、サポートの方が体を支えてくれ、プールサイド側からも 他のメンバーが引っ張って、仰向けにしてくれました。
(自分で体の保持が出来ていない事と、この間の時間の記憶が妙に短いことから、BOしていたようです) ちょうどそのくらいのタイミングで、めまいとけいれんが止み、「いまさら無意味か」と思いながらも、 マスクを外して「I'm OK」と言いました。

<反省点>
1.ターゲットの申告値が不適切

実力的に問題の無い値を申告するべきところを、願望混じりであったため、無理をすることに つながったと思います。
定常的に達成できている値(この場合、80〜90m)を申告するようにしていきます。

2.トラブルがあったのに、競技続行した

自分にとって100mがただでさえギリギリと分かっているため、壁にぶつかって動揺した場合は、 適当なところで切り上げるべきでした。
普段のイメージトレーニングの中に、プール内でのトラブル想定を織り込んでいきます。

3.壁を見て、つい頑張った

人情として非常に難しい気がしますが、壁を見ないようにしていきます。

4.BO後の対応

LMC・BO後は、その日の練習は入水禁止というルールがあります。
今回、「泳ぎたい」という欲望に負けて、その後の練習でも泳いでしまいました。
LMC後すぐに回復し、主観的には体調に問題を感じなかったものの、安全のためのルールとして 重視するべきでした。
LMC・BOした選手について、その後の様子を観察するサポート体制の在り方については、今後 具体的な方法をチーム内で協議していきます。

無謀だった点について大いに反省し、今後の練習に生かしたいと思います。
サポートしてくださった皆さん、ありがとうございました。

サポート見解

事故までの経緯、徴候、事故後の対処、そのた他気づいた点等

  • 申告100mと聞いた時点で「普通じゃない」と感じたのに申告の経緯を問いたださなかったのは サポート側にもおおいに責任あると反省しています。即問いただすべきだった!
  • 90mぐらいで選手が100mの壁を確認していたのでそこから10mもあるのでその時点で無理なトライに 入っていることはあきたかだったのかもと後になって感じてます。
  • 最後の3mでは多くの泡をはいたのでちょっと普通ではないことは読み取れました。
  • 私のサポートが大会モードになってしまっていて選手の軌道が完全に水没するまで手をださなかった のは今回の最大の反省点に値すると思っております、これを教訓に練習時はおかしいと思った時点で 手を出すように今後は十分に注意していきたいと思います。
  • ターゲット後も練習を続行させてしまったのは目の当てられないほどの指導ミスであったと反省しています、 心を鬼にしてその後の練習の停止を命じるべきだったと指示の甘さに反省してます。
  • こうして考えてみると3日のサポートとその後の指示の甘さが次への連続したトラブルにつながって いるのではないかと、本人以上に回りのサポート&指示・指導の甘さが今回のトラブルにつながったと 大いに反省しています。日ごろから注意や厳しく指導するケジメの部分もやはり必要であることを再認識 しました。