LMC・BO体験レポート

※ 下記に記載されている事項について、その内容の誤りや不正確な表現などにより、 あなたまたは第三者が、有形・無形を問わずどのような損害を受けた場合であっても、 本団体および下記に記載している事項の作者を含め、何人も一切の責任を負いません。

レポート

種別BO or LMCBO
環境日時2010年4月4日13時30分頃
場所プール(50m×25m×2.5m)
水温28℃
気温、室温室温 30℃
水質透明度50m以上
状況練習内容(種目等)ダイナミック ウィズフィン ターゲット練習
事故発生タイミング練習中盤
前日の睡眠時間7時間
普段の平均睡眠時間7時間
事故前の心境リラックスしていた
事故前の体調良好
個人普段の食生活比較的栄養バランスに配慮している
定期トレーニング肺のストレッチはほぼ毎日,毎週土日にプール
酒・たばこ普段、お酒はあまり飲まない。たばこは嫌い。
体格・性格等身長165cm,体重60kg,標準的体型
性格はかなり理屈っぽい。
本人見解

事故までの経緯、練習内容の詳細、自分なりに考えた原因と反省点および今後の課題等

<概要>

サンバ癖が一因と思われる、ダイナミックウィズフィン ターゲット練習でのBO。

<当日に至る経緯>

長年ビーフィン・バタ足で泳ぎ慣れている私が、3月にモノフィンを入手。
海洋練習でモノフィン・ドルフィンキックを使えるようになるためには、相当の慣熟時間が必要と考え、 短期集中的にプールに通っていました。(3月のみでも18回、累積50時間以上)
主にドルフィンキックのフォーム練習でしたが、熱中していると、閉息限界に近い状態まで泳ぐことも 多かったです。
特に、前日の練習会では、つい無理をしてBOに陥りました。(別レポート参照)
その際、LMC・BO後は入水禁止というルールを破って、その後も泳いでしまっていました。
しかも、練習メンバー内から「BO後入水禁止」という指摘がその場で挙がっているにも関わらず、です。 メンバー除名と言われても不思議ではない不道徳な行為でした。 当たり前ですが、二度としないと誓います。 連日のプール練習というだけではなく、BO後に閉息潜水を行ったことが、サンバ癖につながった 可能性もあり、自分の身の安全という意味でも、大変な過ちだっと後悔しています。

<当日の状況詳細>

スタティック×1本、タイム4分。問題は無し。
3mmハーフウェットのみ着用で、若干寒かった分、苦しくなるのがやや早く、妥当な感触でした。 ダイナミックウィズフィンのターゲットでは、80mを申告。
前日の失敗から、目標にはこだわらず、苦しさに応じて無理せず水面に上がるつもりでした。
薄目を開けてプール底のマークを追って行き、50mで無難にターン。
そろそろ75mくらいかという頃、みぞおちあたりから、苦しさの前兆が始まるのが分かりました。
前日の様な「フワッ」という異常な感覚はなく、今日は順調だど安心しました。
今までの100m成功時の感覚と比べても、最もリラックスして泳げており、その分、苦しくなるタイミングも 遅くなっている感じでした。
足の筋肉に苦しさを感じ始めたら、腹筋を使う泳ぎ方に切り替えるようにしているため、予定通りに 泳ぎ方を変えました。スピードが上がります。
途中で壁までの距離を見ることはしなかったため、プール底のマークで壁間際であることを知りました。
この時点で、苦しさにまだ余裕があったため、無事に100mを終えて、今までで最もうまくいったと 感じていました。
体を反らせながら、最後に両手でひとかきし、壁にタッチ。浮上後すぐに息を吸えるようにと、 息は少し吐きながら浮上しました。
水面に出た勢いでプール壁上端に右手を伸ばしつつ、溜める呼吸を意識しながら空気を吸いました。
直後、プール上端をつかんだ手が水で滑って外れました。
その後の数秒間、何も覚えていません。
気がついたらサポートに支えられており、そのことに疑問すら感じながら、真剣にSPをしていました。

<反省点>

この日は、初めて責任のある立場として参加することになっていました。
ターゲットは調子が良くても申告以上を狙わず、安全サイドで止めておくべきだったと思いました。
その後の練習で水に入れないという体たらくをさらし、その後の練習の運びに 支障をきたし、皆さんにご迷惑をおかけしたことを、深くお詫びいたします。

当日の瞬間瞬間の判断だけを考えると、主観的に調子が良いと感じている以上、なかなか手前で 止めることは難しかったと感じています。
予兆無くBOした事や、それまでの経緯(自業自得ですが)から、サンバ癖がついている可能性が 高いと思われます。
主観による危なさの検出が全く当てにならないことから、当面の練習では、プールの底に目印を 置いて、自分の感覚によらずそこで浮上するようにします。
どのような練習でサンバ癖をリセットできるか,どのくらいの期間が必要か、等のデータを提供することで、 せめてもの罪滅ぼしとさせて頂きたく、お願い致します。

サポート見解

事故までの経緯、徴候、事故後の対処、そのた他気づいた点等

私は、報告者の前日のターゲットの様子も、25M〜50Mエリアのセキュリティとして 水中から見ていました。
前日は、50Mのターンで壁に衝突するというトラブルもあり、75Mあたりから報告者の泳ぎに異変が 見られ、100Mの手前ではブローし、明らかにサンバになりうる兆候が見受けられました。
この日、私は1M〜25Mエリアのセキュリティを勤めました。
私は、無限の練習も含め、このところ報告者とはよく一緒に練習していたので、その泳ぎからみて とても落ち着いていること、比較的余裕を持って75Mを超えたことを感じ取りました。
ターゲット前、報告者より、最後にペースを上げると告げられていたので、75Mあたりからペースが 上がったことに対しても問題視しませんでした。
残り10Mを切ったあたりで、報告者が手で水をかき、前方を見ましたが、特に異変は感じず、 むしろ泳ぎは安定して調子が良さそうだと感じました。
100Mの壁にタッチし、プールの正面の壁につかまろうとしたところ、報告者の体が後方に 反り返りました。泳ぎの様子からしてサンバを起こすとは予想していなかったので、 最初は意外な気がしました。しかし、続けてもう一度大きく体が反り返り、プールサイドから見ている ジャッジ役からも首をふるジェスチャーが出たので、報告者の首を右手で保持し、身体を支えました。
マスクをとろうとしたところ、報告者はストンと落ち、一旦水中に頭まで沈めてしまいました。
ジャッジ役がプールサイドから報告者の右脇を持って引き上げ、私は左側から支え、ジャッジ役が マスクをとったところで、報告者は意識を取り戻しました。

(反省点)

前日のこともあったので、気道が着水する前に手を出しましたが、支え方が甘かったために、報告者 を水中に落としてしまいました。手を出すと決めたからには、強固にホールドしなければ ならないのに、これができていなかったことを深く反省しました。
また、もたもたしてマスクを外すのが遅れてしまい、これまたジャッジ役に助けられました。
これらは、セキュリティーのスキルの問題ですが、これら反省点を今後のセキュリティ練習に 生かしていきたいと思います。
次に、過信の問題です。前述のとおり、私は報告者の泳ぎを比較的よく見ていましたので、 その日の泳ぎからして無理をしているとは思えませんでした。ですので、まさか今回の事故が起こる とは思っておらず、そのために対応も遅くなってしまったように思います。
このような過信ともいえる状態は、事故を大きくする可能性があります。常に事故が起こる のが前提という姿勢でセキュリティをしなければいけないと思いました。