事故までの経緯、練習内容の詳細、自分なりに考えた原因と反省点および今後の課題等
<状況>
- インドア大会に選手として参加しました。
- 大会期間1日間、種目はスタティック、DYN及びDNFの3種目でした。
- OT時刻はそれぞれ11:36、13:45、16:14でした。
- スタティックアップはOT30分前に入水し10分間シュノーケルで浮いた後2分閉息を1本行いました。
- スタティック結果は5分25秒ホワイト(申告3分)でした。
- DYNアップはOT40分前に入水し200m泳いだ後モノフィンで25m×2本潜りました。
- DYN結果は150mホワイト(申告50m)でした。
- DNFアップはOT35分前に入水し25m×2本潜りました。
- DNFアップの際、左足裏がつりました。ストレッチして回復しました。
- DNFはOT後、6秒程度で潜水を開始しました。
- 100mターンの際、腕を体側につけたグライド姿勢のまま頭をプールの壁にぶつけました。
- 139mで浮上しその後BOしました。(詳細な状況は覚えていないため不明)
<身体・心理的状況>
- 前日の睡眠はいつもより浅く、起床まで2、3回目が覚めました。
- 当日の朝はいつもより、若干の眠気とけだるさがありました。
- 朝食はWiderゼリー1袋と、プロテイン20gを水に溶かして飲みました。
- 会場の最寄り駅に着いて、あまりに空腹なのでチョコレートを買って食べました。
- 開会式後、飲食はWiderゼリーと水を少しずつ摂っていました。
- スタティックは緊張しましたが、SP等、特に問題なく終えることができたと思っていました。
- スタティック結果は自己ベストであり、順位も思ったより上位でモチベーションは上がりました。
- スタティック後は思ったより疲労感があり、安静・ストレッチに努めました。
- DYNは100mを超えて苦しさを感じながらも150mまで行ってやろうと思って泳いでいました。
- DYN浮上直後、体がガクッとなり視界が少し暗くなるのを感じました。
- DYNの後、チーム員に「ちょっとやばかった」と言われ、LMCに近い状況だったと思いました。
- DYN結果は自己ベストであり、疲労感を感じつつもあと1種目頑張ろうと思いました。
- DYN後は、観戦しながら、合間に横になったりストレッチしたりしていました。
- 若干の眠気があり、観戦の合間に横になりましたが、睡眠はとっていません。
- DYN競技が終わり、自分とトップ選手とで、思ったより差が開かないなと思いました。
- DNFの結果次第では、上位に入れるかも、と思っていました。
- DNFアップで足がつったときは、疲労してるな、と思いました。
- DYNでのニアLMCや、上記足がつったことにより、無理はしないでおこうと思っていました。
- 同時に、最低100mできれば自己ベストタイ125m行きたいなという気持ちも混在していました。
- カウントダウン前、眠気や疲労感によりかえってリラックスできているのでは、と思っていました。
- カウントダウン、OT、潜水開始まで特に問題なく進んだと思っていました。
- 練習の時と同様に、50m手前で苦しさを感じ始めました。
- 75mターンをした後90m付近で、もっと力を抜いて心を静めよう、と思いました。
- 100mターンの際、腕を体側につけたグライド姿勢のまま、プールの壁に頭をぶつけました。
- 「なんで?」と動揺しつつも、「あわてる事はない、まだいける」と思ってターンしました。
- 100mターン後も、もっと力を抜いて心を静めよう、と思いました。
- 同時に、125mで浮上しようと思っていました。
- その後のことはよく覚えていません。
- 気が付くとセキュリティの方々に体を支えられ仰向けになっており、すぐにBOしたと思いました。
- 意識回復した直後は、100mターンの後にBOしたと思っていました。
- 着替え等を済ませて落ち着くと、どこが間違っていたのか、という疑問で頭がいっぱいになりました。
<考察>
通常の練習と異なっていた点を列挙し、それぞれについて考察し、対策を検討します。
- 相違点(1):競技であったこと
- 考察:大会に参加する以上、順位や結果を意識するうえ、今回の大会では、途中から
(DYN終了後)意識しだしたことが、大きな心理変化があったと思われます。
但し、初参加であったため、具体的な心理変化を把握しきれていません。
- 対策:今後も大会へ参加し、心理変化を把握し、慣れが必要だと思います。練習でも、
例えば、ターゲット結果が大会ではどの程度の順位になりそうか、等を意識する
ことで競技を意識して練習に取り組みます。
- 相違点(2):緊張感(集中力)の高いターゲットを1日に3本行ったこと。
- 考察:練習では、ターゲットを複数本行うときは、徐々に集中力を高めて距離を伸ばす等、
強弱をつけて行っていますが、今回のように自己ベストを狙ったターゲットを3本連続
行ったことは無いため、連続による影響を把握してませんでした。
- 対策:練習におけるターゲットのやり方を検討します。例えば、1本目をMAXで行くと2本目
はどういう状態になるのか把握したり、1本目を今までよりも集中力を高めて行う、など。
- 相違点(3):摂食制限が長時間であったこと。
- 考察:練習でも摂食制限は行いますが、今回のようにほぼ終日制限したことはありません。
但し、今回の摂食制限状態でも、低血糖症状は無かったので低血糖状態には至っ
ていないと推察されます。
- 対策:練習会参加の際にいろいろ試してみる必要がありますが、それほど頻繁に参加でき
ませんので、同時に、他の方がどうしているのか、情報収集を行います。
- 相違点(4):朝から疲労感があり、さらにDNF前には、足がつり、眠気を伴うほど疲労していたこと。
- 考察:(2)で述べましたように、緊張感の高いターゲットの連続により、予想より疲労していまし
たが、その対処が行われず、さらには疲労により、集中力が欠落し、かつリラックスして
いる状態であったと思います。そのような状態でありながら、普段と同等のパフォーマ
ンスを期待していました。
- 対策:大会では極度に疲労する事を認識し、大会参加前及び参加中の疲労回復に努めます。
また、練習において、練習前の身体的状況と、それに対する潜水中の身体的状況の把握
に努め、身体状況に対する感性を高めていきます。今まで練習では、何m潜れたか、という
結果の事しか考えていなかったと思います。
また、ヨガや禅等による、集中力を高めつつ、心を無にする方法の習得にも努めます。
- 相違点(5):DNF潜水中、100mターンの時にプールの壁で頭をぶつけたこと。
- 考察:普段は、プール底の進行方向のラインが無くなると、間もなく壁に着く、との判断により
ターンしています。ラインが無くなるかどうかを見間違える、というのは一般的に考え難
いため、このときはターン前に意識障害が発生していたのではないかと推察されます。
従って、この出来事は潜水を中止せねばならないトラブルである、と十分に判断し得る
はずであり、100mで潜水を中止すべきでした。
- 対策:ハプニングの程度と潜水続行の可否については、経験不足により判断が難しい場合も
あると思いますが、(4)で述べましたように、練習への取り組み方を改善し、結果以外の
評価(身体的状況の評価、ハプニング及びその対処の評価)を行って、フリーダイビング
に対する感性を高めていきます。
<最後に>
セキュリティーの方々をはじめ、大会スタッフの皆様にご迷惑をおかけしました事をお詫び申し上げます。
また、無事にレスキューして頂いた事に感謝申し上げます。今後フリーダイビングを行っていくうえで、本当に良い経験になったと思います。
この経験を今後に生かしていくことで、皆様へのお詫び及び恩返しとさせて頂きます。
今後とも、よろしくお願い致します。
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