AIDA Worldchampionship Indoor 2011 
伊東 (30〜39才) 11/10(木) 11:10:09 No.20111110111009
 プール競技の世界選手権に参加しましたので、その結果等をレポートします。たくさんの良い経験をさせて頂いたので、長文となってしまいましたがご容赦ください。

<場所・日程等>
場所:イタリアのLignano Sabbiadoroにある
   Ge.Tur.というスポーツセンター内の25・50mプール
日程:DNF予選10/7-8 DYN予選10/8-9 STA予選10/12
   DNF決勝10/14 DYN決勝10/15 STA決勝10/16

<旅行面>
 海外渡航3回目なのですが、1回目は新婚旅行で嫁まかせ、2回目は会社の出張で会社&英語できる同行者まかせ、だったので準備・渡航すべて自力・単独でというのは初めてでした。
 HISのスタッフに言われるがまま、時間的に都合良くて最も安かったトルコ航空イスタンブール経由ベネチア着でサーチャージ等全て込み約¥120000の航空券を購入。荷物の準備については、とりあえず競技参加できる最低限のものをリュックに詰め込み何とか機内持ち込み荷物制限8kg内に押さえ、また酒井さんから拝借したモノフィンについては、頑丈な段ボール製専用箱も合わせて拝借し、ワレモノ扱いで預け荷物としました。
 往路では関空の機内持ち込み荷物のセキュリティチェックでネックウェイトが引っかかり、リュックを開けて見せて用途説明すればOKだったのですが、経由地のイスタンブールでは拙い英語で結構ねばって交渉したのですがダメで、リュックごとカーゴルーム送りとなってしまいました・・・機内ではジャージに着替えていて、ベネチア到着前に機内で着替えようかと思っていたのですが、リュックを取り上げられたのでジャージ姿でベネチア入りするハメになってしまいました・・・さらに、ワレモノ扱いだったはずのモノフィンがベルトコンベアーに流れてやって来て・・・ちょっとトルコ航空に一抹の不安を感じた往路でした・・・
 復路ではベネチア発のフライトが2時間遅れとなり、明らかに乗り継ぎに間に合わない遅延だったので、ベネチア空港のトルコ航空カウンターで聞くと、「大丈夫です。全便遅れてますから」って、ほんとに大丈夫か!?という不安はまさに的中し、イスタンブールでは乗り継ぐはずの飛行機はすでに飛び去っており、カウンターで乗換えの交渉をするも、乗客・係員入り乱れてのごった返しの状態でなかなか交渉も進まず、あげく渡したはずの荷物タグを無くされてしまって・・・荷物の不安を感じつつ、20時間遅れで関空に到着。が、やっぱり荷物が無い・・・結局スーツケースはキャスターの取り付け部がぶっ壊れて1日遅れで、モノフィンは中身は無事でしたが3日遅れで帰ってきました。
 えらい目に遭いつつも、貴重な経験ができた渡航でした。ギリシャレポートで柴田さんもおっしゃる通り、コミュニケーションは言葉の上手・下手よりも、気持ち(表情)ですね!言葉は下手で、気後れもしている、では本当に取りあってくれないと感じました。

<競技結果>
【DNF(予選2日目):133m BO】
 とにかく緊張しまくりました。緊張のためBOの兆候がつかめておらず、そんなにいっぱいいっぱいまで潜ってから上がったつもりはないのですが(浮上したところまではなんとなく覚えています)、後ほどビデオで確認したところ、浮上後ノーズクリップを外そうとするところで、カクッカクッと頭を振って水没し、セキュリティに抱えられてすぐ意識回復して(意識消失を自覚していなかったので)SPの続きを行っていました。サポートをしてもらった金田選手から、「意識消失の時間を含めてSPを終えるまで7秒程度だったので、惜しい(と表現すると語弊がありますが)ところだった。あとちょっと早く浮上していれば良かったと思います。あと、浮上後の呼吸でフック(吐ききらずに止める)が弱いと思います。」とのアドバイスを頂きました。フックについて弱いどころか、全然やっていませんでした。
【DYN(予選3日目):154m ホワイト】
 DNFが終わってからDYNのスタートリストが掲示されたので、DNFの翌日にDYNに参加する事は、DNFが終わってから知りました。京都グランプリで初めてBOした後は、しばらくアプネアをやめてリセットしようと思って3ヶ月間ぐらいやらずにBOを忘れるというアプローチをやってみたので、BOの翌日に競技するという状況をどうアプローチすべきか迷いましたが、とにかく今後に生きるようにできるだけ論理的にアプローチしてみようと思い、いろいろ考えてダイブタイムに着目しました。京都グランプリでは、DYNで150m 2分45秒程でホワイトでしたがサンバ気味、DNFで139mおそらく3分弱でBO、今大会のDNFで133m 2分45秒でBOしているため、ダイブタイムのリミットを2分45秒とし、さらに安全をみて2分30秒で浮上することとして、練習でDYN50mのタイムを測定して約45秒だったことから150mまで潜ってそこから少し距離を稼いで浮上することにより、安全に浮上しかつ自己ベストを更新できる、という作戦で臨みました。競技結果よりもBOの直後から冷静に論理的に取り組めたことが自分にとって良かったと思います。

<大会運営面>
【プールについて】
 DNF・DYNは長水路(水深2m程度)、STAは短水路のプールで行われました。このプールは長水路・短水路が併設された屋内プールで長水路と短水路のプールサイドはガラス壁で隔てられていました。長水路は水温がやや低く(26〜27℃程度:体感)、またプールサイドの気温も低く、長時間の練習は困難でした(特に僕は寒がりなのですが、他の日本人選手も冷たい・寒いと言っていました)が、深くて泳ぎやすく、懸念していた長水路によるDNFの距離短縮も思ったほどでは無く100mぐらいまで意外に気持ちよく潜れました。短水路は水温30℃程度(体感)で気温も高く、今度は逆にウェット使用のSTAでは暑すぎると言っている方もいました。
【運営について】
 大会運営については、初めての僕からみても問題アリと思ってしまうことがいくつかありました。そのひとつは「アナウンスが遅い、もしくは無い」という点で、開催前に、宿舎の情報、競技レーン設定、開催まで及び開催中のプール使用について何のアナウンスも無く、開催してからもプール使用についてはその当日になって何時から何時は使用禁止というアナウンスがあったりして、大会運営が大変なのは分かるのですが、もう少し事前に教えてくれてもなあ、と思いました。もうひとつ、「ジャッジは60分前から選手を監視下におく」とルールに記載されていることから、今大会ではプールサイド(観客スタンドは含まず)に60分前に入らなければならず(チェックする係員がいる)、以後のトイレ等の退出については係員が同行する、という制度が用いられました。ところがこの運用が初日(DNF予選1日目)から破綻していて、初日はチェックイン後も自由に観客スタンドに出入りしており、僕はDNF予選2日目で57分前にチェックインしてしまったのですが特に問題なかったのに、3日目辺りから厳しくなり、それでも係員が呼びに来てくれていたのが、さらにそれも途中から無くなって、日本代表の守屋選手はDNF決勝においてチェックイン遅れで失格となりました。失格を告げられるのを見た時はしょうがないと思っていたのですが、運営の統一性が全く無いため抗議の余地は十分にあったのに、と後から思った事が同じ日本代表としてとても悔やまれました。
【ペナルティについて】
 今大会で目にしたペナルティは、コーチ等のタッチ(判定前にコーチやセキュリティが選手に触れる)、グラブ(気道が水面上に上がる前に壁をつかむ)、OT後に壁に触れていない状態でスタートする、というものがありました。コーチ等のタッチはDYNで世界記録を越えて潜った選手に、セキュリティが「お疲れさん」的な感じで判定前に触れてしまったものや、STAで浮上後判定前にサポートとハグしちゃったりしたものがありましたが、いずれも選手が判定が出るまで審判の方を向いていれば起こらなかったのではと思います(DYNで世界記録を超えて潜った選手は、判定前に観客を煽ったりしていました)。また、グラブとスタートについては、日本ではペナルティではなく失格として扱う大会があったと思うので、整合する必要があると思いました。

<技術その他>
【DNFについて】
 平泳ぎスタイルの選手がほとんどでした。ラップタイムについては50mを1分前後(男子)で泳ぐ選手がほとんどで、男子決勝4位のTrubridge選手が50〜55秒と早く、男子金メダルのSessa選手に至っては45秒という驚異的なラップタイムでした。プル・キックについては、50mあたり6回から7回程度の選手がほとんどでした。Trubridge選手は大きく力強いプルが印象的で、グライドしきらずに早い段階で次のプル・キックを行っていましたが、それでも7プル・7キックで50mを泳いでいました。またSessa選手は元平泳ぎ選手だったそうで、Trubridge選手よりもさらにグライドせずにグイグイかいて・蹴って泳いでいました。Sessa選手のような元競泳選手と思われる選手が他にも何名かいて、そういった選手はキックがよく蹴れていて、キックでよく進んでいるのが印象的でした。
【DYNについて】
 ほとんどの選手がグライドフィンを使用していました。ラップタイムついては50mあたり45秒(男子)の選手が多いなか、男子銀メダルのBrew選手は1回キック・グライドの省エネ・低スピードスタイルにより50mラップタイム55秒ダイブタイム4分強(251m)に対して、Sessa選手はDNFと同様に驚異的なスピードで50mを33秒ほどでラップしていました。フィンワークについては2回キック・グライドの選手が多かったように思いますが、先述のBrew選手のような1回キック・グライドスタイルも見受けられ、またTrubridge選手はDNFと同様にあまりグライドしない1回キック・グライドスタイルでした。Pontinen選手は主に脚を使った2回キック・グライドスタイルでお世辞にも美しいとは言えないフィンワークだったのですが、それでも記録は261m銀メダルであり、人それぞれだなと思いました。
【STAについて】
 個人的意見ですが、ダイナミック競技のトップ選手はSTA競技でも相応の記録(7分オーバー)をだしており、アプネアの基本たるSTAを鍛えねば、と思いました。
【スイムウェアについて】
 ダイナミック競技のスイムウェアについて、ウェットスーツ着用の選手が最も多く(6、7割ぐらい)、次いで高速水着が多く(2割ぐらい)、残りの少数が通常の競泳水着やその他の水着を着用していました。ウェットスーツはほとんどがOrcaのもので、中でもFreediveというモデルが最も多かったと思います。このモデルは厚さ2mmの薄手のウェットスーツなのでウェットスーツでありながら身体も動かし易いようです。ウェットスーツは大会でのアップやカウントダウンにおいて身体が冷えにくい事、また身体の冷えを気にせずに練習を行える事がフリーダイビングにおいて非常に有効な点だと思います。
【ウェイトについて】
 一説には同じ中性浮力でも質量が大きい方が(例えば、普通の水着で3kgのウェイトを付けるよりも、ウェットスーツ着用で7kgのウェイトを付けた方が)キックもしくはプルの後のグライドが良く伸びるという話があり、検証してみたいと思いました。

<最後に>
 無限チーム員の皆様をはじめ、ご支援・応援頂いた皆様、ありがとうございました。競技としては残念な結果となってしまい、申し訳ありませんでしたが、今後につながるたくさんの良い経験をさせて頂いたと思っています。できれば2年後リベンジしたいと思っていますので、今後ともよろしくお願い致します。


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